後立山(長野/富山) 白馬岳(2932.3m) 2022年6月18日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:49 猿倉駐車場−−2:31 林道終点−−2:43 雪渓に乗る(標高1500m アイゼン装着)−−2:55 白馬尻小屋(建物は無い)−−4:18 夏道(標高2220m アイゼンを脱ぐ)−−4:47 小雪渓トラバース(アイゼン装着)−−5:05 夏道(標高2530m アイゼン脱ぐ)−−5:34 村営頂上宿舎−−5:51 白馬山荘−−6:11 白馬岳 6:31−−6:43 白馬山荘−−7:00 村営頂上宿舎−−7:17 小雪渓トラバース−−7:34 大雪渓に乗る(アイゼン装着) 7:37−−8:02 白馬尻小屋−−8:06 夏道(アイゼンを脱ぐ) 8:08−−8:19 林道終点−−8:28 長走沢−−8:49 猿倉駐車場

場所長野県北安曇郡白馬村/富山県下新川郡朝日町
年月日2022年6月18日 日帰り
天候曇。稜線はガス&強風
山行種類残雪期の一般登山
交通手段マイカー
駐車場猿倉に駐車場あり。ただし2022年も工事のため駐車場が縮小
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無小雪渓トラバース周辺が急で滑落注意。ただし、しっかりしたトレース(ステップ)があるのでピッケルではなくストックで何とかなりそう。でも万が一滑った時に備えてピッケルを持ちたい
山頂の展望晴れれば大展望だがこの日はガスがかかってほぼ展望無し
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コメント今年初の白馬岳へ。数年前の同時期よりも残雪が多く、白馬尻小屋より下部で雪渓に乗ったのは初めて。夏場の大雪渓末端付近の尾根は雪が消えて小雪渓トラバースポイントまで夏道利用可。小雪渓のトラバースは雪切されていないが入山者が多くきれいなステップが自然にできていた。標高2500m強以上は雪解けが進んでアイゼン不要。この付近からガスの層に突入し風も強くなって寒かった。県境稜線には全く雪無し。山頂ではガスに巻かれて展望無しだったが直下で雷鳥を発見できた。今回はツクモグサとシラネアオイを見るのが主目的だったがどちらも堪能できた。まだ花には早い時期だが、それでも林道脇から森林限界まで様々な花と出会えた




猿倉駐車場。車は10台程度 鑓温泉入口。たぶん今年も整備されず通行止め
長走沢にかかる橋 林道終点
先人の足跡 早くもシラネアオイに遭遇
標高1490m付近から雪渓に乗る 白馬尻。今年も小屋は営業しないようだ
午前4時。標高2070m付近。ギリギリでライト不要 午前4時の東の空
標高2220mで夏道が出た尾根の末端に乗る 夏はお花畑だがまだほとんど芽吹いていない
ミヤマキンバイ 葉の形状からコンロンソウっぽいかなぁ
標高2350m。雪の境界付近を登る 僅かに太陽が顔を出す
小雪渓のトラバース。トレースあり 小雪渓のトラバース終了
雪が消えた場所に乗ったらアイゼンを外す 早くもハクサンイチゲ。強風で揺れてブレている
標高2570m付近。ガスに突入 村営頂上宿舎が見えてきた
ウルップソウは僅かに咲き始め ミヤマキンバイ
水源の雪渓 村営頂上宿舎。もう営業開始している?
残雪に沿って県境稜線へ 咲く直前のショウジョウバカマ
県境稜線。最初は思ったよりも風は弱かったが・・・ ガスが切れると白馬山荘の姿あり
スミレの類かと誤認したがオヤマノエンドウだった 今回の目的のツクモグサ。植物が少ないこの時期は割と目立つ
白馬山荘 往路は山荘前から稜線東端経由とした
山荘通過 こちらにもツクモグサ
ガスが切れた瞬間 先客の姿。でも少ない
白馬岳山頂。ガスと強風で寒い! 三角点は全体が露出
山頂から南を見ている ガスが切れて日差しが出るのはごく短時間
ガスが切れたタイミングで撮影した西側の展望
ガスが切れたタイミングで撮影した北側の展望
山頂直下で雷鳥発見 ガスと強風の中を下る
ミヤマキンバイ 県境稜線を離れる
ウルップソウの中で最も開花が進んだ株 アイゼンを装着
小雪渓のトラバース こんな天気でも続々と登ってくる
ショウジョウバカマ 開花前のシナノキンバイ
ヤマガラシ ここで大雪渓に乗る
雪渓のガスが晴れてきた 振り返る
白くうねるスキー跡 アイラネアオイの群落
白馬尻。テントあり 本流を離れて右手の雪渓を下る。夏道は雪の下
サンカヨウ、ニリンソウの群落 雪渓末端
雪渓末端 シラネアオイ
咲きかけだが、おそらくミヤマカラマツ ニリンソウ。でも花は1輪や3輪のものもある
ニリンソウはあちこちに群落あり キヌガサソウ
ズダヤクシュ エンレイソウ。初めて見た
林道終点。今年も白馬尻小屋の車は無い オオタチツボスミレかなぁ
雰囲気はハタザオに似ているが葉の付き方が違う
場所は深山じゃないけどミヤマカラマツ 長走沢。さすがに今の時期は水量が多く橋を使う
タニウツギ。いい香りが漂う花 オオカメノキ
白っぽいスミレはツボスミレらしい ミヤマカタバミ。やはり日が高くないと花が開かないようだ
スミレ類 鑓温泉方面入口
今年初のオオバミゾホオズキ おそらくユキザサ(ユリ科)
猿倉山荘方面入口 林道は荒れている
ミヤマキンポウゲそっくりだが場所的にウマノアシガタ 駐車場到着。半分も入っていなかった


 今週末の天気は微妙で数日前から予報がコロコロ変わって不安定。金曜夜の時点で土曜日の下界は曇後雨、日曜日は曇後晴になった。土曜日はお昼くらいから雨とのことで、いつもの早出なら雨が降る前に下山できそうだ。ただし気圧配置が悪く、湿った南西の強風が入って高い稜線は強風とガスの可能性が高い。「てんくら」の予報では北アの3000mで風速は17,8m/sと台風並みの予報が出ていたが、等圧線の間隔からしてそこまで強くはならないと予想。それでも強い風に吹かれながら長時間の稜線歩きはやりたくないので、稜線に出てから山頂までそれほど時間がかからない山ということで、今シーズン初めて白馬岳とした。

 この時期の大雪渓経由白馬岳なら白馬尻付近でシラネアオイが期待できるし、山頂付近ではツクモグサが咲いているだろう。ツクモグサは本州では珍しい花で、白馬岳周辺と八ヶ岳でしか見られないそうだ。梅雨の時期が開花シーズンなので梅雨明けに登ってもほとんど見られない。ツクモグサのちょっと後から咲き始めるウルップソウも似たような分布なような。私はウルップソウは八ヶ岳と白馬岳周辺でしか見たことはない。

 長野市内から猿倉まで1時間程度しかかからないので午後8時過ぎに猿倉に到着。登山者用駐車場入口が舗装されていたのには驚いたが、駐車場自体は相変わらずのデコボコだらけだった。昨年同様に駐車場南端に工事車両専用道路が設置されて駐車場が狭くなっていた。何の工事をやっているのか知らないが、かなり長期間の工事らしい。駐車場の入りは10台程度。既に白馬山荘は営業しているが、天候がイマイチなのでこんなもんだろう。残念ながら空には全く星が見えない。酒を飲んで寝たが夜中にポツリポツリと車がやってきた。

 翌朝は夜中1時に起床して2時前に出発。落石のリスクを考えると明るくなってから大雪渓に入りたいところだが、雨の降りだしが早くなる可能性もあるのでいつもの時刻の出発とした。相変わらず星は全く見えず一面の雲に覆われているようだ。問題は雲の高さで、山頂より高ければ展望を邪魔しないので問題ないが、山頂と同じような高さだと山頂はガスに覆われる。この時刻は真っ暗なので山頂が見えているのかどうか分からなかった。

 猿倉荘経由ではなく林道から直接歩き始める。気温は高めでもう防寒装備は不要だが、稜線に出て強風に晒される可能性が高いので冬と同等の装備を持った。今回は大雪渓と小雪渓を登るので10本爪アイゼンとピッケルを持った。

 昨年は白馬尻小屋は営業しなかったが今年も同様とのこと。その影響か林道はかなり荒れている。小屋関係者が車で入らないからなぁ。鑓温泉方面は昨年は通行止めのロープがあったが今回は外れていた。ただし、おそらく今年も鑓温泉は営業休止だろうし、この時期はまだ登山道の整備はされていないし、鑓温泉より上部はヤバい所に雪が残ってマジでアイゼン、ピッケルが必要な場面があり、鑓温泉より上部に入る人はほとんどいないだろう。

 林道脇にはサンカヨウとニリンソウがたくさん咲いていた。写真は帰りに撮影することにする。長走沢は雪解け水で増水しているので素直に橋を渡った。橋は例年より短く沢の本流のみ越えるようになっていた。

 車が無い林道終点から登山道へ。早速僅かながら残雪が登場。そして早くもシラネアオイの大きな花が登場。登山道の両側には林道と同じくニリンソウ、サンカヨウだらけ。そしてたまにキヌガサソウとシラネアオイが混じる。この時期は森林限界の花は少ないが、アプローチでの花は多い。

 雪解け水が流れ込んで湿った登山道の乾いた石の上にははっきりと靴底の跡が残っていた。意外にもこの時間に先行者がいるようだ。残念ながらここから先を見てもライトの光は全く見えないので距離は結構離れているようだ。雪渓に乗ればおそらく光が見えるだろう。

 数年前にこの時期に登ったことがあるが、その時は白馬尻小屋で雪渓に乗ったが、今回はもっと下の標高1490m付近から雪渓に乗った。ここから沢沿いに登山道が上がっているはずだが、夏道は完全に雪の下だった。まだアイゼンを付けるほどの傾斜ではないが、どのみちどこかで装着するのでここで付けることに。その方が適当に歩いても滑らないのでお気楽に歩ける。

 白馬尻小屋は今年も建物の組み立てをしていないのでコンクリートの土台だけ。ここは広い平坦地なので土台が無くても白馬尻だと分かる地形である。ここまで来てやっと先行者のライトの光を視認。思ったよりも先行していて時間にして30分程度の差がありそうだ。さて、追い付けるかな? それともこんな時刻に歩く人は私と同じように健脚で逆に差が広がったりして。どうであるにせよこちらはマイペースで歩くだけである。

 この時期の大雪渓はクレバスの心配が無いのでどこでも適当に歩ける。ただしある程度高度を稼ぐと杓子尾根側からの落石が多発する地帯に入るので、谷の中央より北寄りを登るのが安全である。もちろん、そちら側でも落石のリスクはあるので安心はできないが。

 大雪渓は立木は皆無で大きく開けた場所であり、暗い曇り空でも午前4時前になるとライトが不要な程度に明るくなってきた。ただしデジカメのシャッター速度はまだ1/10秒以上であり、ブレずに撮影するのは困難。それ以前にこれだけ暗いとピントが合わない。私が使っているのは古いコンパクトデジカメなのでマニュアルでピント合わせは不可能だ。

 先行する登山者の光は雪が消えた夏道がある小尾根(葱平)に乗った。ここから傾斜がきつくなるので尾根の雪が早く溶けるのであった。そして大雪渓はここが上流の先端近くで、この先で雪が切れて岩っぽい地面が出ている。そこには夏道は無く藪なので、早めに右手の葱平に乗るのが正解だ。葱平の右手の雪渓はずっと上部までつながっているのでそこを登ってもいいが、かなりの急傾斜で滑ればピッケルをもってしても止まらない斜度なので、ここは素直に夏道の安全ルートを選択する。ここからしばらくは雪は無いはずなのでここでアイゼンを脱ぐ。ちなみに先行者の足跡はアイゼンを履いたままだった。

 葱平は夏場はお花畑になるが、この時期はまだ雪解け直後で芽吹いた植物は少ない。ショウジョウバカマはここでは意外と数が少ない。 開花しかけの黄色い花は標高的にはミヤマキンバイだろう。一株だけ咲き掛けの小さな白い花を発見したが種類が分からず。イワオウギかと思ったが葉っぱが明らかに異なる。花が大きく開けば判別しやすくなるのだが。

 小雪渓直下まで大部分は夏道が出ているが、部分的には雪に埋もれた箇所があるのでアイゼンを装着した方が安全であるが、雪には登山者によるステップが自然にできているので小雪渓まではアイゼン無しで歩いた。小雪渓のトラバースにもステップができているがはそれなりに傾斜が急であり、万が一滑った場合は危険なので突入前にアイゼンを装着してピッケルを手にする。今回、ピッケルは重いマジなピッケルを持ってきたが、この時期はまだ雪はガチガチに固くなっていないので軽ピッケルでも大丈夫そうだった。小雪渓のトラバースは時期によってルートが変わるが、今回のトレースは夏道よりやや上部を通過したようで、避難小屋より上部に出た。

 急雪面のトラバースを終えると広く浅い谷間を登っていく。通常は傾斜が緩い場所の方が雪が残りやすいのだが、ここでは逆で小雪渓を横断して傾斜が緩むと残雪が減って夏道を歩く区間が長くなる。最初に雪が切れた場所でアイゼンを脱いで以降は白馬岳山頂までアイゼンは不要だった。まだ雪が残った場所があるが傾斜が緩いし雪はキックステップが効く固さなのでノーアイゼンで問題なく歩けた。この区間も夏場はお花畑だが、この時期はまだ花は少ない。ミヤマキンバイ、ハクサンイチゲ、ウルップソウが咲き始めたばかりであった。

 まだここは谷間で南西の強風は稜線にブロックされて直接当たるわけではないが、既に冷たい強風が吹き下ろして寒さを感じ、防寒装備を着た。手袋は軍手から防寒テムレスに切り替える。頭上のすぐそこが雲の底で、時々ガスの層に突っ込むことも。これでは山頂での展望は諦めるしかなさそうだ。まあ、今回はその覚悟で登ってきたのだが。

 大雪渓を通過して以降はあちこちに雪解け水が流れ、わざわざ下から水を持ち上げる必要はなかった。日差しが無く冷たい風が吹く今日の天気では水の消費はほとんど無いが。村営頂上宿舎前の水源となっている雪渓末端はまだ水は流れていなかった。流れはおそらく雪の下なのだろう。

 夏道を上がって村営頂上宿舎前を通過。宿舎周辺はほとんど雪は溶けていて発電機の音がしているので、もしかしたら今年の営業を開始しているのかと思ったが、帰宅後にネットで調べたら今年の営業は6/25(土)からだった。でも営業準備は順調に進んでいそうだった。ちなみにテント場も完全予約制とのことだった。私の場合、おそらく今年もアルプスは日帰りオンリーだろうけど。

 村営頂上宿舎から県境稜線へは大きな雪渓の西端を辿る。ここも夏はお花畑だが今の時期は寂しい状況。一部のウルップソウが咲き始めていたがまだまだこれから。

 県境稜線に出るとさらに強風になると思ったら最初のうちはそれほど強くなく拍子抜けするほど。しかし山頂へと上がっていくと徐々に強くなっていった。既にガスの層に突入して山頂はおろか白馬山荘も見えないし、西側の旭岳も全く見えない。雨が降っていないだけマシであろう。

 ここからがツクモグサが見られる場所である。これまで同様に黄色いミヤマキンバイの咲き掛けの株が一番目立つが、濃い紫色のスミレの花(と思われた)を発見。スミレは種類が多く判別には葉の形状も重要であり見てみたが、いつものスミレの葉や茎ではなくチングルマと同じ地を這う超低木であった。あれ? スミレではない? 帰宅後にネットで調べたら「オヤマノエンドウ」であった。夏の時期に見ない花だと思ったが、やはりこの時期に開花するとのこと。分類としては木ではなくマメ科の多年草だが、私が見たように茎は木化して半低木になるとのこと。

 肝心のツクモグサだが、この時期は他の植物がまだ芽吹いていないので意外と見つけやすかった。まだ葉っぱも出たばかりで完全に開いてはいないが、毛が生えた大きな白い花(蕾)は存在感がある。梅雨の時期しか見られないので貴重な存在だ。これが見られただけでも今日は満足。天気が悪くても花の鑑賞には問題ないのであった。というか、直射日光が当たった状態よりも日差しが無い状態の方が花の写真写りはいい。

 既に営業している白馬山荘前を通過して、往路は山荘東側を通るルート経由で登ることにした。ここも夏場はお花畑だが今は寂しい限りだ。この付近から風が強くなり体感的寒さが厳しくなったので防寒装備を追加。長袖シャツの上にジャンパーを着て毛糸のフェイスマスクの上から毛糸の帽子とネックウォーマー着用。ほとんど真冬仕様だが風が強いとこれくらい必要だった。気温はおそらく+4、5℃だろう。

 時々ガスが切れて山頂へ続く稜線が見えるが、白馬岳山頂はずっとガスの中で見えない。猿倉の駐車場の車の数からして白馬山荘宿泊者は少なかったはずだが、登山道を歩く登山者の姿も数人程度でかなり少なかった。この時刻では私のような日帰り登山者はまだ山頂には達していないので、全てが白馬山荘宿泊者のはずだ。そういえば先行していたライトの光の主と思われる登山者とはすれ違わなかった。30分程度の時間差なら村営頂上宿舎から白馬岳山頂の間ですれ違って良さそうなものだが。もしかしたら私がメインの縦走路から外れて東側のルートを登っている間にメインの縦走路を下っていったのかもしれない。

 ガスの中を登り切って白馬岳山頂に到着。一等三角点は完全に根本まで露出して地面に置かれた状態。人気の百名山でたくさんの登山者に踏まれて岩も摩耗するだろう。南西の風が強いが山頂は東側が切れ落ちているので風を避けられる場所が無い。唯一、山頂の展望盤の影くらいで、そこに蹲ってパンを齧った。たまにガスが切れる瞬間があり、急いで写真撮影。しかし南側はずっとガスがかかって北アルプス等の展望は皆無で、見えたのは近場の旭岳、雪倉岳、小蓮華山くらいであった。寒さで長時間休憩できるような状況ではないし、ほとんどの時間はガスがかかって展望が無いので短時間の休憩で下山開始。

 しばらくは花は少ないので歩くことに専念。左膝の状態は先週よりもマシになっているが、下りでコケるとまた痛めてしまうので慎重に。でも先週の常念岳と違って大きな凸凹はないので格段に歩きやすい。ガスの夏道を下っていると先行して下っている男性に追いつく。しばらくはアイゼンが不要な道が続くがその人はアイゼンを履いたままだった。まあ、ここの地質は石がゴロゴロしているのでアイゼンで植物が傷ついたり道が掘れたりすることは無いだろうが。

 夏道が終わって小雪渓へとつながる広い雪の下りが始まる箇所でアイゼン装着。ここまで下ると登ってくる登山者の姿が数人あった。雪の上なので歩くルートは人それぞれで、小雪渓を直登している兵の姿も。先行して小雪渓トラバースを下っている2人の姿が見えたが、山荘宿泊者が少ないので下りの姿も少ない。この2人は小雪渓のトラバースが終わってから雪の縁を下らずに雪が無い微小尾根を下ったようで、途中で尾根を乗り換える必要があり私よりずっと遅れてしまった。

 葱平の夏道が終わって大雪渓に乗る場所では、ガスの中から続々と登山者が上がってくる。真夏のシーズンよりはずっと少ないが、それでもすれ違った人は50人くらいいたと思う。この時期でこの天気なら多い方だろう。

 大雪渓は快調に下る。登りであれだけ苦労したのが嘘のような楽さだ。地面が出た夏道と違ってアイゼンを履いていても工夫次第で適度に足を滑らせて歩くことができるので、下りに関しては夏道よりもずっと短時間で下ることが可能だ。残雪期が進んで雪はかなり締まって全く沈まないくらいの固さなのでロングスパッツも不要。でも雪が固いので膝への負担は大きくなる。でも夏道よりは軽くて済む。雪の表面は既にスプーンカットができかけてて平坦ではないのも歩きにくい要因だが、こんな雪面の状態でもスノボやスキーを担いで登ってくる姿があった。まともに滑れるのであろうか。もし滑れても雪の上に出た石が多数あるので板がボロボロになりそう。

 登りでは1時間半かかった大雪渓も下りは1/3の30分で降りることができた。秋道が出ている時期よりもずいぶん短時間で下れただろう。雪渓終点手前の白馬尻ではテントを設営しているパーティーがいた。こんな時間にこんなところで設営と言うことは、ここで定着して今日明日で雪上訓練でもやるのだろうか。白馬尻周辺の雪渓脇の斜面にはシラネアオイの大群落がみられた。

 夏道に復帰して以降は花を探しながら歩いたが、往路で見かけた以外に発見できたのはエンレイソウ。葉はサンカヨウに似て大きいが濃い茶色の花。背の低いズダヤクシュはたくさん咲いていた。咲き掛けのミヤマカラマツもあったが林道では完全に咲いている株もあった。

 林道脇まで下ると多くの花が見られるが主役はサンカヨウとニリンソウ。道端や斜面に大群落を形成していた。スミレの群落もあったが細かな種類は分からず。ネットで調べたら薄い紫の花はオオタチツボスミレ、白っぽいのはツボスミレらしかった。立木ではオオカメノキ、タニウツギの花が咲いていた。特にタニウツギは今が盛りだった。もっと低い山だと大型連休くらいがピークであるが、ここまで高度が上がると咲く時期が遅れるようだ。帰宅後にネットで調べても種類が分からない花がいくつもあり、毎度のごとく困る。この標高では高山植物と言うより山野草であり、種類が多すぎる。残念ながら今の画像検索の性能では正確な種類の特定は不可能だ。

 林道を猿倉近くまで下ると今シーズン初のオオバミゾホオズキが登場。そしてミヤマキンポウゲにそっくりなウマノアシガタ。これは飯縄山でも見かける花だ。相変わらずタニウツギは林道脇のあちこちで花を咲かせていた。

 そのまま林道経由で駐車場まで下ったが、登っていく登山者の姿が意外と目立った。登山ポストは猿倉荘にあるが、今はネットで出せるのでそうしておけば猿倉荘へと遠回りする必要はない。

 駐車場に到着するとスペースは半分以上空いているように見えた。これが真夏の週末だと入りきらずに八方尾根のゴンドラ利用者の無料駐車場に駐車してバスやタクシーで猿倉まで上がる必要がある。私の場合は地元であり夜の早い時刻に現着できるので、駐車場の確保は問題ない。

 

山域別2000m峰リスト

 

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